5月14日は、バアチャンの誕生日。
でも、バアチャンは、12日の朝、3回吐いてからぐったりしてしまったらしく、
いつもの病院を受診した。
施設の看護婦さんがいつもと様子がおかしいから頭の方も検査してくれと言ってくれなかったら、
脳出血だったことに気づかないまま、その日のうちに亡くなっていたと思う。
ちゃこです。
脳出血だということがわかってから、
近くの脳神経外科へ緊急搬送となり、詳しく調べたけれど、
もう手遅れだった。
頭を開いても、絶命するだけだという状態だった。
左側の脳がもう出血してぐちゃぐちゃだった。
脳幹までやられちゃったら呼吸が止まる。
その時がいつなのか、その時がお別れの時。
そんな12日だった。
カアチャンは、わんこを3匹預かっていたし、ドタバタしていたよ。
誕生日に弾いてあげようと思ってギターの練習してたのよって、
アイスを一緒に食べたかったのよって、
バアチャンに言ってみたけれど、聞こえているのかわからない、そう言ってたよ。
点滴に出血を止める薬を入れてくれた。
少しは出血が止まっているのかもしれない。
でも、苦しそうに呼吸しているだけのバアチャン。
13日、丸一日がんばってくれた。
14日、バアチャンの誕生日。
カアチャンは、ギターの動画を撮ってバアチャンに聞かせた。
聞こえているかどうかわからないけれど、約束したから耳元で聞かせたって言ってたよ。
弟くんとお嫁さんと赤ちゃん、妹ちゃんと旦那さんと子供たちも動画を送ってきてくれた。
先生に言わせると、脳が止まって、呼吸が止まって、心臓が止まっても、
耳は振動を捉えるから体には届くんだよって教えてくれたんだって。
感動するよね。
15日、昼過ぎに面会に行って帰ってきたカアチャンは、
バアチャンの呼吸がとても浅くて早くなってる、苦しそうだと言ってた。
もうこの体には、バアチャンはいないのかも、とも言ってた。
預かっているわんこ3匹のお散歩と草刈りを済ませ、夕飯を食べている時、
病院から電話が鳴った。
呼吸が止まったので病院へ来れますか?
夜空を見上げると、満点星。
バアチャンが倒れてからずっと雨だった。
カアチャンは車の中でこの歌が浮かんできたんだって。
忌野清志郎の、雨あがりの夜空に〜♪だよ。
脳が止まって、呼吸が止まって、心臓が止まってしまった体を眺めているバアチャンの姿。
あら、こんなはずじゃなかったわ、
でも愉しかったわ、そんなバアチャンの姿。
ポンコツだったもんね。
私もだけどね。
トオチャンがよくお前はポンコツだって言うもん。
バアチャンは体をメンテナンスするなんてこともなかったもんな。
ポンコツなりに乗りこなしていたよね。
愉しそうだったよ。
カアチャンはあたしと約束したよ。
私はポンコツなりにもうちょっと上手に乗りこなしていくよって。
バアチャンが教えてくれたからねって。